病院長のご挨拶

布施 病院長病院長のご挨拶       

新年度を迎えて
 
 当院は、「患者さま一人ひとりのかけがえのない人生の支えとなれるように人に優しい医療・看護・介護を実践します」という理念のもと、地域に根差した安全・安心の質の高い医療を提供することを目標にしております。急性期、療養期医療に加えて緩和医療にも取り組んでいます。隣接する特別養護老人ホームが渡り廊下でつながっており、医療および介護が一体的かつ有機的に機能できる体制となっていることは当院の特徴の一つといえます。
 各診療科が、かかりつけ医としての役割を担いながら、地域の医療機関と顔の見える緊密な病診連携を実践し、より専門的な医療を要する場合は、大学病院などとも密に連携をとることで、切れ目のない地域医療の構築を目指しています。昨今広がりをみせている在宅医療については、後方支援病院としての役割を果たしていくことも重要な責務と考えています。最近、当院では、急性期医療に対するニーズが大きくなっており、救急車の受け入れ数も倍増しています。そのような医療状況を鑑みて、昨年度より、一般急性期の病床を48床より、88床に増床しました。今後とも、地域の皆様のご期待にしっかりお応えできるよう鋭意努力してまいります。
 今年度は、新たに8名の医師が、当院に入職されることになりました。内科、外科、整形外科、緩和ケア内科、麻酔科、口腔外科などの領域でのエキスパートないし新進気鋭の先生方です。内科は、内科全般の診療はもとより、循環器内科および糖尿病内科の充実が見込まれます。外科は、肝臓,胆道系,膵臓領域の手術など守備範囲が広がり、内視鏡センターとの密な連携により、消化器診療全体のさらなる発展が期待されます。整形外科では、多岐にわたる疾患の診療に取り組んできましたが、上肢の領域での診療環境に新たな展開が期待できます。緩和病棟は、開棟して6年余り経過し、順調に運営されていますが、今年度より緩和医療に長年関わってこられた先生が担当することになりました。心と体の両面から支える診療を基軸にして、周辺の医療施設とも連携を図りながら、引き続き地域に貢献できればと思います。
 透析医療については、腎臓リハビリテーションの一環として、透析中の運動療法を開始しました。患者さんには、おおむね好評で、体調の改善が認められるようです。患者さんの高齢化が進んでいる状況の中、フレイルやサルコぺニアの防止のため、日頃から積極的に運動を取り入れていくことが望まれます。なお、8年ほど前にスタートし、コロナ禍で一時休止としていた透析医療および慢性腎疾患などに関するセミナーを、昨年から再開しました。多くの参加者があり、腎疾患に携わっている医療関係者との情報交換ならびに情報共有という観点からも有意義なものと改めて認識しました。
 新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に感染症法上の5類感染症に変更となりましたが、その後も、第9波、10波の出現など感染拡大が認められ、医療機関、高齢者施設などで感染の発生が報告されております。我々医療関係者は、気を緩めることなく、院内感染を防止するために、注力する必要があります。現在設置している発熱かぜ外来の継続や入院に際しての検査体制の確保など、皆様に安心して当院に来院していただけるよう基本対策をしっかり講じたいと思います。
 昨年は、献血活動に対する長年の貢献に対しての金色有功章の受章、医療安全に関する標語の募集における最優秀賞の受賞など各関係団体から一定の評価をいただきました。また、10月に実施された適時調査では、幸いにして特段大きな指摘はなく、保険診療も含めて、適正な診療が評価されたものと理解しております。
 今年度より、医師の働き方改革が始まり、診療報酬改定などもあり、医療環境に少なからず変化が出ていますが、引き続き職員一同、日々の診療、業務に真摯に取り組んでまいりたいと思います。皆様には、一層のご指導、ご支援を賜れば幸甚に存じます。

令和6年4月

医療法人社団聖仁会 白井聖仁会病院
病院長 布施秀樹