肝臓外来
肝臓は体のなかで最も大きな臓器です。体を動かすエネルギーを作り、老廃物を分解し代謝の中心的存在です。私たちが生きていく上で必要不可欠な臓器で、まさに肝心要な臓器と言えます。しかし肝臓は沈黙の臓器とも言われ、異常があってもなかなか症状が出ません。黄疸や腹水といった症状が出たときには進行した状態で、手遅れになることもしばしばあります。自分はお酒を飲まないから大丈夫と思っていても、最近はお酒を飲まない人の脂肪肝も肝癌・肝硬変になることが分かってきました。まずは簡単な採血と超音波で自分の肝臓の状態をチェックしましょう。
肝臓病
肝炎・肝硬変・肝臓がんが主な疾患です。
肝炎は経過から急性と慢性があり、原因も様々なものがありそれぞれ治療法が異なります。
肝硬変は肝細胞が線維組織で置き換わり硬くなった状態です。食道静脈瘤や腹水が生じます。
●どんな症状ですか?
色素沈着、黄疸、くも状血管腫、手掌紅斑、脱毛、爪の変形、ばち指、浮腫、腹水、腹壁静脈の怒張、羽ばたき振戦、女性化乳房、精巣萎縮、吐血・下血
●この外来でとりあつかう病気
・B型肝炎
・C型肝炎
・アルコール性肝炎
・NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
・自己免疫性肝炎/原発性胆汁性胆管炎
・肝硬変症
●当院での治療
当院ではB型・C型肝炎に対する抗ウイルス治療や治療後の肝がんスクリーニングが可能です。またアルコール性肝炎に対する断酒治療や断酒が難しい方への節酒治療も可能です。非アルコール性脂肪肝炎では基礎疾患となる糖尿病は脂質異常に対する栄養指導や生活指導、薬物治療を行います。
検診で肝機能が悪いと言われた方、エコーで脂肪肝と言われた方、また他の病気で通院中に採血で肝機能が悪いと言われた方、日本肝臓学会の専門医資格を持つ医師が担当します。お気軽にご相談ください。
●B型肝炎
B型肝炎ウイルスに感染することで発症します。輸血や母子感染が多いですが、唾液でも感染することはあります。2016年にワクチン接種が始まりましたが、それ以前に生まれた方は注意が必要です。最近は若い人の感染も増えており、感染していることに気づいていないことも多いです。またキャリアだから治療は必要ないと言われている人もいますが、B型肝炎は肝硬変にならなくても肝癌になることがあり、定期的な検査が必要です。現在は核酸アナログ製剤(エンテカビル、テノフォビル)の内服でウイルスを制御して、肝炎を抑えることが可能となっています。
●C型肝炎
C型肝炎ウイルスに感染することで発症します。放置すると肝炎・肝硬変から肝臓癌を発症します。以前は副作用の強いインターフェロンで治療していましたが、今は飲み薬で簡単に治療することが出来ます。高齢の方でも副作用なく簡単に治療可能ですので、気軽に相談していただきたいと思います。しかし感染期間が長かった人や、肝硬変の人は治療後も発癌することがあり、肝臓の状態に応じて定期的な検査が必要です。当院では腹部超音波やCT検査で肝癌の早期発見に努めています。
●アルコール性肝炎
お酒の飲みすぎによって生じる肝臓の病気です。もっともなじみのある病気だと思います。最近では、外での会食機会が減り大量に飲むことは減っていますが、巣篭りで自宅での晩酌は増えているのではないでしょうか。健康診断や人間ドックで肝障害を指摘された方の多くが、お酒の影響だと思われます。ただ本当にお酒のせいだけでしょうか。お酒を控えて良くなっていますか。減らせば良くなるだろうと放置していないでしょうか。きちんと専門医の診察を受けることをお勧めします。またお酒は肝臓以外にも膵炎や食道がん・喉頭がんなどの原因になります。最近はお酒に関わる問題に対する新しい薬も登場しました。肝臓外来ではありますが、膵臓の病気や内視鏡専門医による胃カメラも組み合わせてお酒に関わる問題全般にも対応可能です。
●非アルコール性肝炎NASH
お酒を飲まないのに脂肪肝から肝硬変・肝臓がんになる病気です。多くは糖尿病や肥満などメタボリックシンドロームによって発症します。脂肪肝の2,3割ほどと言われていますが、肥満人口の増加によって急増しており,肝臓がんの半数以上が脂肪肝からとなっています。ただの脂肪肝だと思っていたら、突然肝硬変や肝臓癌となって見つかるケースも増えており注意が必要です。進行しない脂肪肝と肝硬変になる脂肪肝炎の判別は非常に難しく、場合によっては肝生検が必要になることもあります。
●診察曜日・診察時間(予約不要)
月曜日14:00~17:00
火曜日19:00~12:00
水曜日19:00~12:00